Hypomyces chrysospermus Tul. & C. Tul., Annls. Sci. Nat. Bot., se’r. 4 13: 16, 1860.
Anamorph: Sepedoniumchrysospermum (Bull.) Fr., Syst. Mycol. 3: 438, 1832.
寄主上の子実体形成菌糸層は橙色 (orange, 5YR7/14) から橙褐色 (brownish orange, 5YR7/6),灰赤褐色 (grayish red, 10R6/8),寄主全面を覆う;子実体形成菌糸層を構成する菌糸は幅(2-)3-5 μm,柔軟組織状,有隔壁,厚壁,KOH (-).子嚢殻は薄黄色 (5Y9/2)から淡黄色 (pastel yellow, 5Y9/4),楕円から広楕円形,(165-)251-284×(205-)251-310 μm,子実体形成菌糸層に半ば埋没して群生する;子嚢殻基部は円錐状,46-66(-79)×(79-)112-145 μm.子嚢は円筒形,(83-)99-109(-117)×4-5(-6) μm,8胞子性,長さ11-19(-30.5) μmの柄を有し,上部に孔口を生じ,肥厚した先端構造 (厚さ1-1.5(-2) μm,長さ2.5-3.5 μm) を有する.子嚢胞子は無色,紡錘形,基部付近に隔壁を有し,2細胞性,(13.5-)17-21×(3-)5-5.5 μm,表面は直径0.5 μm以下の疣状突起を有し,両端は突状(長さ0.5-1(-2) μm,先端は丸みを帯びる);発芽時に側面表層部がわずかに膨張し,その一端から菌糸を生じる.MEA上25oC,7日間の培養でコロニーは直径50?63 mm,密綿毛状,表面は鮮橙色(cadmium orange, 10YR7/14) から鈍黄色 (brownish yellow, 10YR7/8),菌叢は培地表面から高さ0.5-1 mmに達し,カビ臭;周縁は薄く,緩い鋸歯状;裏面は鈍黄色 (10YR7/10) から橙色 (10YR8/10);PDA上のコロニー発育は25℃,7日間の培養で直径75?80 mm,菌糸は密生,表面は黄色 (yellow, 5Y8/8) から鮮黄色 (vivid yellow, 5Y8/14),分生子を多数形成する;OA上のコロニーは,菌糸層がやや密生,厚壁胞子を多数形成する.顕微鏡下で菌糸は無色または薄黄色 (5Y9/2),幅(2.5-)4-5(-7.5) μm,有隔壁,厚壁.分生子柄は気菌糸上に形成され,栄養菌糸との区別が不明瞭有隔壁,やや厚壁,不規則に2-3回分岐し,幅2-4 μm,先端に分生子形成細胞を生じる.分生子形成細胞は分生子柄側面または先端から分岐し,単生または不規則に3-4(-5)個輪生し,無色,(17.5-)27.5-47.5(-97.5)×1.5-4 μm,先端は多少錐形(幅0.5?1 μm)で次第に細くなり分生子を集塊する.分生子は無色, 無隔壁,楕円形から長楕円形,薄壁で平滑,(4-)10-12.5(-20)×(2-)3-5(-7.5) μm.厚壁胞子は菌糸に側生,または分枝の先端に形成され,明黄色(5Y9/6) から鮮黄色(5Y8/14),亜球形,幅(10-)12.5-15(-20) μm,疣状突起(直径0.5-2 μm) を生じる.
供試材料:イグチ科子実体上引用文献
常盤俊之・奥田徹 (2009) 日本産Hypomyces およびそのアナモルフ IV. 日菌報 50: 94?103.